地熱井が掘削されると、地下の地質・地熱情報が直接把握できる。特に、深度方向の地熱資源分布や温度特性が明らかになる。坑井から高温な地熱流体が噴出していれば、その地点は有望地熱資源の賦存が確認されていることになる。地下のどの地層や岩石中に地熱流体が存在するかは、地質柱状図、物理的検層、地質・化学的検層(層別に流体やコア、カッティングス岩石試料を採取して分析を行う)などの結果および逸水部、水位や泥水温度などの掘削情報から明らかにできる。また、熱水変質作用や岩石・熱水の化学物質の交換反応の程度や同位体交換反応の進行具合などから熱水活動の混合モデルや生成の履歴などを知ることができる。

坑内温度検層の結果得られる地下の温度の分布を示す温度柱状図(温度プロファイルと呼ばれる)は、地熱構造や流体流動を把握するためには重要なデータとなる。地熱地帯では、主として図2.2-1に示される①ディスチャージ型、②伝導型、③複合型、④高温対流型、⑤低温対流型、⑥側方流動型、および⑦リチャージ型がある。本調査では①~⑦のうちで、それぞれの温度特性に応じた深部地熱構造を検討し、総合的な評価を行う。

 

図2.2-1 地熱地帯においてよく見られる温度プロファイル