地熱開発における有望地点をどうやって見つけるかは、非常に難しい課題である。特に、地熱徴候がない場合には猶更である。
地熱徴候は一般に温泉、噴気帯などであるが、そのほかに時代の新しい変質帯も地熱徴候の一つとなる。これらが存在することは活発で高温の地熱活動の存在を示すものであるが、折角の地下の活地熱情報をもたらす可能性がある徴候をより詳細に検討する必要がある。噴気の成分および温泉水からは、地化学温度、流体流動、流体の起源などを知ることができ、さらには変質帯からは変質鉱物の特性から、熱水活動や熱水特性を把握することができる。加えて、変質帯で熱水活動によってできた石英や方解石の結晶が得られるならば、生成温度を測定することができる。これらの情報と地質構造、水理構造を基にした地熱構造モデルを作成し、有望地域を探し出すのが初期段階での有望地域抽出の手法となる。
では地熱徴候がない場合にはどうするか。まず、近隣の地熱開発地域や地熱徴候地の地熱構造を把握し、対象地域との類似性はないかを調査する。例えば、隣接地域の地下の地熱貯留層が断層に沿って発達するということであれば、対象地域での断層の存在する可能性について検討する。もし断層の存在が期待できるようであれば、その断層の特性を把握するための調査計画の立案から始めることになる。