今年の7月の終わりから掘削していた地熱調査井で、2つ以上の地熱貯留層を確認した。しかも、これらの貯留層の温度は、200~250℃と高温である。地熱調査井成功のカギは地熱構造モデルの精度にあると言って良い。的確な井戸位置の選定、そして、地下の貯留層構造や地熱流体性状の推定が正しくできていることが必要である。そして、掘削中の坑井地質・地化学解析によって、地熱構造に関する新しい情報を得て、より深部の地熱構造を予想していくのである。特に逸泥部の温度や貯留層構造、貯留熱水などの評価をオンタイムで行い、貯留層の評価を行っていくことも重要な作業である。これらの作業をしっかりと行わなかった場合には、しばしば、生産対象の貯留層をセメンティングで埋めたり、貯留層の上部で、貯留層に未達のまま堀留たりといったトラブルが発生する。

地熱井の噴出成功は事業化の第一歩であり、以降の噴出特性や坑井調査によって、発電規模を想定し、事業性の検討という、夢のある仕事が待っている。こんな仕事はいくつになっても楽しいものである。