地熱を始めて間もなくの頃、そう今から40年程前に、従来考えられていた多孔質地層型貯留層、すなわち石油型貯留層と考えられていた地熱貯留層の概念とは違う断層に規制された地熱貯留層もあるのだという考え方を発表した。地熱井の掘削において、逸水帯である断層を境に地熱現象に大きな変化があることが多い。水位の急激な変化、温度の変化、変質鉱物組み合わせの変化などである。同時に、複数の地熱井のデータから、特性のよく似た断層を結んで断層の走向・傾斜を把握した。これらを総合して、断層に沿った貯留層概念モデルとして、鎌田正明他の著作による地熱流体の化学(東京大学出版会、1985)のテキストに採用していただいた。今では常識とされているが、比較的新しい概念である。
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社長コラム
